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花扇通信Hanaougi news

月刊 花扇生薬  第224号

2021.05

編集・発行人:小西製薬株式会社学術担当

薬事

 2025年までの世界医薬品市場 日本が主要国で唯一マイナス成長  IQVIA 

 
2025年までの世界医薬品市場予測で、主要国のうち唯一日本がマイナス成長と予測されました。日本の年平均成長率(21~25年)が-2~1%と低成長で、米国は2~5%、ドイツ3.5~6.5%、フランス1~4%、英国2.5~5.5%、中国4.5~7.5%といずれもプラス成長を予測しています。各国ともコロナ禍影響を折込み済ですが、着実な成長に戻ると予測されています。日本は毎年薬価改定の実施、長期収載品のシェア減少、政府主導の後発品使用促進策などが市場成長に影響するとされました。政府は長期収載品などの薬価引下げ圧力を強め、この傾向が緩むことはないと見られ、後発品の数量シェア80%目標を2023年までに全都道府県での達成計画も準備しています。新薬のシェア・金額の伸びを、長期収載品と後発品でバランスする施策が日本市場を予測する上でカギになりそうです。(薬事日報 21.5.13)

「薬用作物の国内生産の拡大について」のカンファレンス開催 国際医薬品開発展

2021年4月15日、東京ビッグサイトにて、薬用作物の国内生産の拡大についてカンファレンスが開催されました。農林水産省生産局・橋本地域対策官と、日漢協生薬国内生産検討班・小柳班長の2
部構成講演が行われました。漢方製剤等の市場規模拡大により薬用作物の需要増が見込まれる、薬用作物は中山間地域等での新しい作物としての期待も高まっているなどが、栽培に取り組んでいる地域の実例なども交えながらの解説がありました。(日漢協ホームページ 21.4.20)

中国人にとって「先祖代々の宝・漢方薬」を発展させたのは日本

日本では薬局で様々な漢方薬が売られ、病院でも漢方薬が処方されます。中国起源の漢方薬がなぜ日本ではこれほど普及したのでしょうか。中国動画サイトは、4つの理由が考えられると指摘しています。第1は「政府の支持があった」ことです。保険の適用範囲であり、漢方薬の教育にも力を入れています。第2は「企業によるイノベーション」で、漢方薬を顆粒剤、錠剤、内服液の形にして服用を容易にしていますが、中国は、伝統的な煮る方式です。第3は「厳格な品質管理」を実施しています。日本では、生産に関し品質管理が法律で規定されており、原材料についても明確な基準があって高い品質を確保しています。第4は「きちんと伝承している」ことで、日本には漢方薬に関する書物が非常に多く、新書籍も多く出版していると伝えています。(Searchina 21.4.22)

新型コロナウイルス感染症患者にて、漢方薬処方で著効  白川病院理事長・野尻 眞

華岡青洲は、250年前に10種類の生薬を配合し十味敗毒湯を創薬しました。皮膚の化膿を抑え、腫れや赤み、かゆみを取る薬です。新型コロナウイルス感染症患者3症例に、十味敗毒湯が処方されました。新型コロナウイルス感染症患者の解熱は3~4日かかりますが、今回は、十味敗毒湯内服で1日で解熱しています。経皮的動脈血酸素飽和度に顕著な改善効果がみられ、咳、頭痛、下痢、嗅覚障害、味覚障害など新型コロナ感染症特有の症状があっても、肺炎や免疫過剰で血管内血栓が多発するサイトカインストームに至らず、快方に向かいました。(全国保健医新聞 21.4.15)

新型コロナウィルス感染症が軽症で回復後、後遺症出現   ヒラハタクリニック・平畑光一院長

第4波突入で感染者が再び急増する中、あらためて後遺症が懸念されています。新型コロナウイルス感染症そのものは軽症で回復した人でも、後遺症に悩まされる症例が多く報告され、国立国際医療研究センターの調査では、退院したコロナ患者の約76%が後遺症を訴えているといいます。症状は、咳や呼吸困難などの呼吸機能障害をはじめ、倦怠感、頭痛、関節痛、動悸、嗅覚・味覚障害、下痢、脱毛、不眠、食欲不振、不安や抑うつといった精神症状など多岐にわたります。新型コロナ後遺症外来を開設した平畑光一院長は、「漢方薬を駆使し、治療に当たっている」と話しています。元気がない時は十全大補湯、頭痛には五苓散や七物降下湯、釣藤散、呉茱萸湯、咳には茯苓飲合半夏厚朴湯が、コロナ後遺症頭痛には、胃に負担をかける鎮痛薬より漢方薬が良好といいます。
(日刊ゲンダイヘルスケア 21.5.5 )

台湾で開発のコロナ向け漢方薬 早ければ今週にも使用可能に  中華民国

新型コロナウイルス向けの漢方薬・清冠一号が、臨時薬品許可証が承認される見通しであることが5月18 日分かりました。衛生福利部(保健省)はすでに緊急使用許可に同意し、製薬会社2社が許可証を申請しています。清冠一号は衛生福利部国家中医薬研究所と臨床中医師が共同開発し、重症急性呼吸器症候群(SARS)の治療経験から10種類の漢方薬材を配合しました。新型コロナの感染が広がり始めた直後から開発に着手し、2020年5月に治療の初歩的成果を公表しました。多くの被験者に発熱症状の緩和や心拍、血圧の安定がみられ、8~10日後に3度のウイルス検査結果が陰性となり、重症化を防ぎ、治癒の速度を加速させることも分かりました。すでに欧州や米国などには輸出されていますが、国内では審査が厳しく、承認が下りない状況でした。(フォーカス台湾 21.5.18)

ロコモティブシンドローム歩行機能をニクジュヨウエキスが改善 富山医科薬科大学

神経機能学・東田千尋教授らは、ロコモティブシンドローム(運動器障害で移動機能低下)傾向被験者を対象に、ニクジュヨウエキスの効果を検討、12週間の投与により歩行機能の改善がありました。40~80歳で、適格基準に合致した被験者を、2群に分け、プラセボまたはニクジュヨウエキスが12週間服用されました。服用前後にて、四肢筋肉量の測定、握力、立ち上がりテスト、2ステップテスト、5 m歩行テスト、ロコモ25の解析を行いました。60歳以上または65歳以上の層別解析にて、プラセボ群と比較してニクジュヨウエキス投与群では、2ステップテストで歩幅増加が有意に示されました。また、2ステップテストでの歩幅と、5 m歩行テストによる歩行スピードの両方を改善する人数が、60歳以上にて、投与群で有意に多いことが示されました。血液検査、自覚アンケートにて、副作用は発症しませんでした。(富山医科薬科大学ホームページ 21.3.11)

薬草生産組合を町が販売拡大の後押し  佐賀県・玄海町

4月27日玄海町で薬草を生産する農家でつくる「町薬草生産組合」の設立総会が、町営薬用植物栽培研究所で開かれました。設立に加わったのは、お茶や漢方薬の原料となるドクダミやミシマサイコを手がける町内の農家6人。玄海町は、2011年、基幹産業である農業の活性化を目指して研究所を設立、農家が薬草の生産を始めましたが、業者への販売は研究所が仲介し、生産者が希望する時期に販売できない課題があった。今後は、組合が農家から薬草をいったん買い取り、業者に転売する仕組みを導入します。生産量が最も多いドクダミは、年に2~3回収穫され、乾燥させた上で販売される。月平均100㎏程度が研究所を介して県内業者に販売されていますが、農家側からは乾燥後に一括販売したいとの要望がありました。(読売新聞 21.4.28)

3万6000株のシャクヤクの花見頃   三重県・鈴鹿市

長沢町で、約3万6千株のシャクヤクの花が見頃を迎え始めました。シャクヤクはボタン科の多年草で、根は漢方薬原料として使用し、花や葉は消臭・抗菌作用があります。約1万8千平方メートルの畑は、同市追分町の植木栽培・販売業イトウグリーンが所有、管理しています。花びらが八重の洋シャクヤクと一重や二重の和シャクヤクが計約10種類あり、現在和シャクヤクは3~5分咲き、洋シャクヤクはつぼみが咲き始めています。同社は鈴鹿商議所らと連携し栽培と商品開発に取り組んできました。(伊勢新聞 21.5.9)

トウキの葉をデザートに使用   兵庫医療大学・薬学部

兵庫県丹波市の山南地域で栽培されているトウキ葉を使ったレシピを、学生たちが作成しました。地元で使われてきた葉を有効活用し、販路拡大が狙いです。若者をターゲットにした21品を紹介しています。江戸時代から薬草が栽培されてきた同地域では、1989年からトウキを育て始めました。約40アールの畑で13世帯、1団体が栽培を続けていますが、中国産の台頭と生産者の高齢化などで生産量は減少傾向にあります。県は2014年から薬草産地再生事業に着手、兵庫医療大も加わり、栽培の効率を高める研究に取り組んでいます。2015年には丹波市を含め協定を結び、トウキ葉を特産物にするプロジェクトが始まりました。同大非常勤講師・石崎真紀子さんは「料理からスイーツと種類は豊富。トウキ葉が食品として使えると実感してほしい」といいます。(神戸新聞 21.4.21)

疲労ケアに人参養栄湯    内科医・漢方医 工藤孝文

体力低下や疲労、倦怠を改善が期待されている人参養栄湯は、活動的になる漢方薬です。人参養栄湯は、ニンジン、トウキ、シャクヤク、ジオウ、ビャクジュツ、ブクリョウ、ケイヒ、オウギ、チンピ、オンジ、ゴミシ、カンゾウの12種類の生薬を含み、生活習慣対策に使用されていましたが、構成する生薬に種々の効果が証明されました。効果としては、栄養状態改善が挙げられ、体のコンディションを改善する効果や疲労時の活力を促すことも報告されています。食欲がない、慢性疲労、常に眠気を感じる、体力が低下している 、活力を増やしたい、気分が落ち込みやすい、乾燥肌の人に効果的です。(Women’s Health 21.4.20)

春は目が疲れやすく、ニンジンで疲れ目対策   漢方薬・生薬認定薬剤師 道川佳苗

春は暖かくなり活動量が増えるため、新陳代謝が活発になり、有害物質の解毒や分解を担う肝への負担が高まります。肝と目は経絡という気の通り道でつながっているため、関係が深いとされます。肝に不調があると、かすみ目や目の疲れなどが現れやすくなり、反対に目を酷使すると肝が弱り、双方は連動しています。薬膳では、肝の働きを助けるために栄養を補う補血作用のある食材を摂ることで肝を養い、目の疲れにも効果があります。ニンジンは、血を補う働きがあるため、目の乾燥を改善し、視力を高める働きが期待できます。弱った肝を養ってくれる食材です。また、βカロテンが豊富で、体内で必要な分だけビタミンAに変換され、眼精疲労や目の乾燥、視力の低下予防にも効果を示します。(毎日新聞 21.4.25)

商況

国内商況:先月と同様、動きは見られず、需要の停滞傾向が続いています。(薬事日報 21.4.30)

海外商況:中国では、天候に著変はありません。ウィキョウは、コロナ過でインド市場が閉鎖し、輸入量が減少し、トウモロコシの価格上昇により、ウィキョウの栽培面積が減少、生産減少の見込みから売り惜しみもあり、産新前に値上がる可能性があります。エンゴサクは、生産量が下がる見込みですが、在庫に余裕があり相場は安定する見込みです。オウレンは、減産と買占めで価格は上昇しています。キジツは、6月の新物まちで、市場在庫が少なく、相場は高値維持しています。ケイヒは4月から新物が出ていますが、ベトナムと中国調理業者の買占めで高値維持が続いています。ゴボウシは、例年の減産と収穫の手間から、栽培面積が減少。価格上昇の見込みです。サイシンは数年来の減産と精油合格品の少なさから高値が維持されています。ショウキョウは、食料品にまわされ、乾燥物が市場に出回る割合が少なくなり、高値が続いています。ダイオウは、成分含量の高い野生品の在庫が少なく、価格が上昇しています。(輸入商社提供)

安全性

上記3情報には漢方・生薬にかかわる情報はありません。
・ 回収情報 厚生労働省 2021.5.12
・ DSU (Drug Safety Update) No.298 厚生労働省 2021.4.13
・ 安全性情報 No.382 厚生労働省 2021.4.27


・ 使用上の注意改訂 厚生労働省 2021.5.13
小柴胡湯加桔梗石膏の重大な副作用の項に間質性肺炎を追記すると注意改訂されました。