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花扇通信Hanaougi news

月刊 花扇生薬  第259号

2024.1.26

編集・発行人:小西製薬株式会社学術担当

薬事

フレイルに対する有用性検証へ 漢方の将来ビジョン研究会が会合

日本東洋医学会と日本漢方生薬製剤協会が立ち上げた「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」は、2月都内で今年度の研究報告会を開催した。今回のテーマは「コロナ後の医療における課題と漢方薬の必要性」とし、フレイルに対する漢方の有用性に焦点が当てられた。
講演では中央大学保健センター教授の石田和行氏が、将来ビジョン研究会が発出した六つの提言を実現するために、日本東洋医学会が組織した提言書検討委員会・政策提言委員会の活動について紹介すると共に、フレイル治療に対する漢方薬の臨床的エビデンス構築を目的として、症例集積研究を行う際の指標となる「漢方フレイルスコア」の概要を説明した。
漢方フレイルスコアについては、①フレイルに対する各種漢方薬の有効性を検証する症例集積研究のための指標とする②フレイル治療として、高齢者一人ひとりの証に最適な漢方薬を選択するための治療ガイドラインの作成も目標とする――とし、その条件として特殊な機器・設備を必要とせず、どのような規模の施設においても利用可能な統一的指標とすることとした。                                  (2024.03.25 薬事日報)

東南アジア最大級の漢方薬会社買収へ ロート製薬、三井物産と

ロート製薬は、東南アジア最大級の漢方薬製造販売会社「ユーヤンサン」(シンガポール)を買収すると発表した。三井物産と共同で買収し、合計で約880億円を投じる見込み。目薬、スキンケアに続き、漢方薬や生薬を第3の事業の柱にする狙いで、成長が続くアジア市場を取り込む。
ロートによると、ユーヤンサンは1879年創業で、伝統的な漢方薬からサプリメント、食品まで幅広く手がける企業。シンガポール、香港、マレーシアを中心に170以上の店舗と30の漢方薬クリニックを運営する。
今後、ユーヤンサンのブランドカとロートの技術開発力などを組み合わせ、アジア地域でのビジネス拡大を狙う。ロートの山田邦雄会長は4月4日の記者会見で「東洋医学の分野は飛躍的に伸びる」と期待を語った。
(2024.04.12 朝日新聞)

飲んで美容 資生堂参入、カゴメ・ツムラと協業

資生堂は食事など体の内部から美容効果を得る「インナーケア」の新ブランド「シセイドウ ビューティー ウェルネス」を立ち上げた。
販売したのはカゴメとコラボした飲料「ルーティナ」と、ツムラと連携したサプリ「チューンボーテ」。ルーティナはカゴメの持つ野菜の研究知見を生かし、体内時計に着目した商品だ。チューンボーテはツムラの持つ漢方の技術も合わせ、体の調子を向上させるとしている。
研究から商品発売までのすべてを他社と連携するのは資生堂にとって初めて。魚谷雅彦会長最高経営責任者(CEO)が両社の社長に自ら声掛けをしたことで実現した「肝煎り」の政策でもある。
インナーケア事業について、25年からは中国など海外での展開も検討しており、資生堂の赤尾一成事業部長は「2030年には売上高を数百億円にしたい」と期待を込める。            (2024.04.17 日本経済新聞)


医師も生活者も1日2回を支持 医療用漢方薬の服用回数調査 クラシエ薬品


クラシエ薬品が医師と一般生活者を対象に行った「漢方薬の服用回数に関する意識調査」では、漢方薬について服用回数を自身で選べる場合、1日3回か1日2回のどちらを選ぶかというアンケートを実施した。その結果、医師・生活者ともに約8割が1日2回服用を支持していることが明らかになった。
漢方製剤は1日3回服用が主流の中、クラシエは患者の声に応えて、医療用漢方エキス製剤としては初となる1日2回服用の製剤を2002年から提供し、また、飲みやすく携帯にも便利なスティック包装を採用している。
1日2回服用を支持する理由として、一般生活者で最も多かったのは「お昼の飲み忘れをなくすことができるため」で、飲み忘れの悩みを持っている人が多いことが分かった。続いて「お昼は(仕事や学校などで)服用しづらいから」と答えた人が多く、環境による薬の飲みづらさを実感している人も多い傾向も見られた。
医師では、9割以上が「服薬コンプライアンスの向上につながる」を挙げ、患者に処方薬を正しく服用してもらいたいという思いが強いことが分かった。                               (2024.03.25 薬事日報)

商況


国内商況:
 お釈迦様の誕生を祝う花まつり(灌仏会)では、釈迦像に甘茶をかける習慣があり、毎年この時期が近付くと甘茶の需要が出てくる。今年も甘茶の需要は出始めているようだ。生薬相場は先月とほとんど変化がない。
(薬事日報2024.03.29)


海外商況:
 サイシン、シャクヤク、ボタンピは、中国現地での取引が活発化しており、相場は上昇傾向にある。いずれも栽培期間が長く、生産量の回復には時間がかかるため、今後も堅調な相場が続く見込みである。
 オウゴンは今春の収穫量が少なかったため生品の価格が上昇した。新物の乾燥品はまだ出回っていないが、今後、価格が変動する可能性がある。
 バクモンドウは予想より収穫量が少なかったこと、サンシシは栽培面積が大幅に減ったことなどから、投機活動が活発になり相場が上昇した。
 ブクリョウは、昨年の収益が低かったことから農家の栽培意欲が低下し、菌種の売れ行きが不調である。今後の相場に注意が必要である。
(輸入商社提供)

安全性

・ 医薬品安全対策情報(DSU)No.325 2024年4月
・ 使用上の注意の改訂指示通知(医薬品)医薬安発0328第1号 2024年3月28日
医薬安発0409第1号              2024年4 月9日
※漢方・生薬に関する情報はなし